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やっちまったぜ!

redfreesia さん からの投稿

 

今日から有機合成化学の実習が始まる。

実習室で待っていると、実習担当の先生がやって来た。 学生はみんな白衣を着て、実験台の周りの椅子に座っている。

「これから、本日の実習の説明を行う」 おもむろに先生が説明を始めた。

「今日の実習では、塩化チオニルを使うから気を付けるように」 学生達から、ざわめきが漏れる。

「塩化チオニルってなに?」 「えっ! 塩化…なっなに?」 これは、私が大学生の頃の実習の様子である。

まぁー、みんなタワケ(アホウとも言う)ばっかだった。

かく言う私も、その一人であった。

先生は、そんなことにはお構いなしに、説明を続ける。

「塩化チオニル、こいつは水と反応すると塩酸と亜硫酸が出来る」

どうも、今日使う薬品は『やばい!』 タワケの直感がそう感じ取っていた。

びびりまくるオレたちを尻目に、先生は言った。

「水には気をつけろ! 実験開始…」 そう告げると、先生は自分の研究室へと戻って行った。

塩化チオニルは密栓されたガラス容器に入っていた。

オレたちは慎重に栓を抜いた。

すると、ガラス容器の口からは、白煙が立ち昇る。

「けっけむり出ちゃってるぜ。どっどうするよ…おい」 塩化チオニル、恐るべし! オレ達はびびってしまい、実験の開始を躊躇っていた。

すると、隣の実験台の連中から声があがった。

「うわあっ、やべ! やっちまったぜ」 隣の連中の誰かが、さっそく手の上に零したみたいだ。

「どっどうすりゃいい? ねえ、なっなんとかしてくれってば」

「速く水で手洗え」

「だめだよ。さっき先生が水はだめだって言ってたじゃん」

「オレ、先生呼んでくる」

仲間(タワケ)の一人が実験室から飛び出し、先生を呼びに行った。

その間も、やっちまったヤツは大騒ぎしている。

「指から煙が出てるぜぇ―い、いてぇよぉぉー」

周りの連中からも声が飛ぶ。

「我慢しろ! 直ぐに先生がくっからよっ」

数分後、先生が血相を変え実験室に飛び込んできた。

入ってくるなりいきなり、先生は大声で叫んだ。

「なにやってんだぁ。早く水で手ぇ洗え!」

手を洗った後、そいつの手のひらは、白っぽく変色していた。

塩化チオニル、恐るべし…。