【やっちゃった】どうしても味わいたかったお名前放送。
るこぺとり さん からの投稿
これは私がまだ幼稚園に通っていた頃のお話です。
小さい頃から私は内気で大人しく、幼稚園でも外に出るより室内でお人形遊びをするような子供でした。
両親からも手のかからない子供だったという話をよく聞きます。
そんな聞き分けの良い子供だったからこそ私には憧れていることがありました。
それは「お名前放送をされたい」という願望です。
当時の私には”お名前放送が、とてもかっこいいことだ”と感じられました。
ですが、私は先述のように大人しい子供だったので、待てど暮らせど迷子になる機会がありません。
しかし、そんな私にチャンスが巡ってきました。
それは、父と二人で流れるプールへ行ったときです。
父が目を離したすきに、私は一人遠くへ流されてしまいました。
じきに遠くのプールサイドへ漂着するのですが、普通の子なら泣き出してしまうところを私は興奮していました。
なぜなら、念願の迷子になれたのですから!
一人でいるとあっという間に周りの大人が気づいてくれ、順調に迷子センターへ行くことになるのですがここで問題が起きます!
そう、私を探し回る父がこちらに気づかぬものの近づいて来ているのです。
私はあたかも悲しい顔をして下にうつむき息を殺してい歩きました。
間一髪どうにか気づかれなかったのですが、一瞬見えた父の焦った表情は未だ鮮明に覚えています!
最後の難所を乗り越えた私は念願の「迷子の女の子」になることができ、館内放送でデカデカと私の名前が読み上げられました。あの時の喜びは未だに忘れられません。
これが手のかからない子供だった私の唯一の迷子体験です!