※画像フリー素材PAKUTASO
ナギサ さん からの投稿
【面白い話】「どいてください…。」と言えなくて
その日は、朝から雨が降っていました。
私は買い物を済ませて大きな荷物をもっていました。
家に近づいたその時です。
私の家の前の入口のところに、若い女性が立っていました。
「おや、なんだろう?」と最初は思いました。
よく見ると、犬を連れていました。
どうやら犬の散歩の途中で、たまたまその犬が私の家の前のところで、動かなくなってしまったみたいなのです。
さて、どうしようワンちゃんに、どいてもらわないと私は家に入れない。
雨は激しくなるし、荷物も重いし…。
私は、その女性に近づきました。
よく見ると、まだ20才前後。
もしかしたら、私服の女子高生だったかもしれません。
何と声をかけようか。
あやしいおじさんに思われたくもないし。
「どいてください」というのも、なんだかなあ、と思いました。
そうだ、女の子ひとりでない、ワンちゃんがいる。
このワンちゃんに手伝ってもらおうか、と思いました。
そう思って、その若い女性に近づきました。
彼女に声をかけました。
「可愛いね」
すると、その娘が何かおかしいのです。
急にモジモジ、顔も見る見る真っ赤になってゆきました。
あ、この子勘違いしている。
即座に私は、犬の方を向いて「可愛いワンちゃんですねえ」と言い直しました。
その子は、「はい」と小さな声を残して、そそくさと、その場を去って行きました。