『旅』
気付けば、どれだけ遠くへ来たのだろう。
私が旅に出たのが、遥か昔の事の様に感じる。
そう感じるのは、もうすぐ
私の旅が、終わりを告げる事を暗示しているのだろう。
故郷にいる家族や友人には、旅に出てから一度も会ってはいない。
みんな元気で、いるのだろか。
旅に出る時に、後悔など捨てて来たはずなのだが、
今はとても、家族の温もりを恋しく思う。
もう、私の羽もぼろぼろだ、強い風に逆らう力もない。
あの雲の切れ間まで行ったら、一休みしよう。
そう思い、力強く羽ばたいた、
その瞬間…、
私の意識は途切れ、糸の切れた凧の様に宙を舞い地面に落ちた。
私の旅は、ここで終わりを告げた。
終わりを告げるはずだった…、
ここはどこだ、
温かいぬくもりに包まれている。
私は、少女の手のひらの中にいた。
お世辞にも、大きな手とはいえない両手を、
名一杯ひらいて、少女は私を優しく包み込んでくれている。
こんなボロボロの私を大事そうに。
少女の介抱も虚しく、私はここで力尽きるだろう。
私の長かった旅も、もうすぐ終わる。
もし、私が生まれ変わる事が出来たのなら、
私の全てを賭けて、この少女を幸せにしよう。
ああ、私の旅は終わってなどいない、
ここから始まるのだ…。
私は、まだ見える方の目で少女の顔を忘れない様、目に焼き付けた。
少女の殴られ、大きな痣のある小さくて優しい顔を。
~ prologue ~
「旅とは、定まった地を離れ、
ひととき他の土地(場所)へゆくこと、である。」
お・わ・り
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I'll see you tomorrow.(:D)┓ペコリンチョ